2016年9月12日

Netflixレビュー 008 HELIX黒い遺伝子


2014 アメリカ TVドラマ Syfyチャンネル シーズン数2 全26エピソード

煽り文句の通り「逃げ切れない感染の恐怖」を描いたテレビドラマ。端的に纏めると「良くあるゾンビ物」という事になる。いわゆる「バイオ系」のお話で「謎の病原体」に感染する事で人間が凶暴化し人を襲い始める。そこから感染が広がり、どんどん増えていく。舞台は北極の孤立した実験施設で通信も遮断され、迎えが来るのは二週間後。と、お話のプロット的には何番煎じか分からない物ではあるが、当然そうなると「ゾンビ物」と言うよりは、登場人物間の人間ドラマや、陰謀などがメインとなる。




主演はビリー・キャンベル。現在は渋いオッサンになっているが若い頃は中々のイケメンで、代表作は「ロケッティア」。実写版ロケッティア自体は91年の作品で決して新しい物ではないが、それなりの話題作でもあり、猛スピードで空を飛ぶ姿は中々に爽快感のある映像であった。

飛行速度が早すぎて制御の効かないシーンも見られ、格闘ゲームなどでも「開幕突進系の超必ブッパ」を「ロケッティア」と呼んだり、考えなしに「強アパカ」をブッパするサガットを「サガッティア」と呼んだりと、日本国内にもそれなりの影響を残した作品である。この作品以降は活躍の場をTVドラマに移し今日に至る。


北極の研究施設の所長はハタケヒロシと言う名の日本人で演じているのは真田広之である。物語は調査に来た主人公側のチーム、そして何かを隠している雰囲気の施設側の人間、そしてベクターと呼ばれる「感染者」における三すくみ状態で展開していく。状況的には先に述べたように「閉鎖された空間で未知なる恐怖との戦い」を描いた作品で、状況的には映画なら「エイリアン」に近い状況だ。むしろ状況設定は「Xファイル」のシーズン1 エピソード8「アイス」に酷似している。本作では1エピソードを「1日」とカウントして助けが来るまでの約二週間を13エピソードで描く。



主人公であるアランは当初は北極行きを拒んでいたが、感染者の中に弟のピーターが居ると聞き北極行きを決意する。弟のピーターを演じるのはニール・ネイピア。正直知らない人だし、WIKIにページも無い。代表作は「本作」という感じの無名俳優であり、いつ死んでもおかしくないような状況から物語がスタートするが・・・

吹き替え版で第一声を聞いた瞬間に「コイツはシーズンエンドまで生き残るな」というイメージが刷り込まれる。むしろラスボスでもおかしくない。

吹き替えの声優が「藤原啓治」なので、どんなイカれたサイコ野郎だったとしても驚かないだけの覚悟が一発で完了してしまった。これはある意味で「吹き替えの弊害」とも呼べる極めてネタバレに近いキャスティングだ。

仮に物凄い笑顔で物凄い丁寧な挨拶をする感じのいい男がいたとして、吹き替えの声優が「若本規夫」だったら「おまわりさんこの人です」ってなる。確実にテロリストだ。すぐに拘束すべき。

余談ではあるが「字幕版」では真田広之は流暢な英語で会話し、吹き替え版では真田広之演じるハタケヒロシの声優を真田広之本人が担当しているのでその辺の違和感はゼロだ。吹き替えではなくハタケに関しては「アフレコ」である。



北極でのお話は13エピソードで一応の完結。詳細は省くが、それから約1年後、海上の船で謎の伝染病が発生し、乗員は一人を除いて全滅。調査に向かったチームが生存者を発見し、無人島で一泊したという話を聞き調査に向かうも、船長は「検体」を持ち帰る義務があり、二週間後に迎えに来るという形でチームだけが「島」に残された。そこは無人島ではなく、カルト的な集団が自給自足の生活を送っている島であった。ってお話のプロットがシーズン1と同じだー!

詳細は避けるがお話の規模が段々大きくなって行き、「現在」と「30年後」のエピソードが同時に展開するという見ている側の混乱を狙った作りにもなっているが、徐々に「現在」の話と、断片的に語られる「30年後」のエピソードが繋がっていく。


もう一つ「類似した作品」をご紹介。2013年のアメリカ映画「ワールド・ウォーZ」。それなりの話題作で今年の2月にも金曜ロードSHOWで放送されたので既にご覧になった方も多いだろう。

内容的には「謎の病原菌が原因でクリーチャー化した人間が人を襲う」という内容でB級映画も含めれば大抵はこういう設定の「ありふれた現代版ゾンビ映画」ではあるが、ブラピ主演という事で大きな注目を集めた作品でもある。

ありふれたテーマでありながら「十分な予算」を使えば「圧倒的な数のエキストラ」やアメリカ映画のお約束「派手な爆発にカーチェイス、飛行機も飛ばせば銃弾も飛び交い最後は家族愛」といった「娯楽大作のテンプレ通り」の作品にはなるのだが、逆に言えばそれだけでもあった。

日本の映画雑誌「映画秘宝」が発表した「HIHOはくさいアワード2013」で堂々の1位。同年の最もがっかりした映画と評され、これはゲームで言えば「クソゲーオブザイヤー」で大賞を取るのに匹敵する快挙でもある。

内容自体はそこまで「糞映画」と言うわけではないが、事前の宣伝で煽りすぎた影響が大きく、上で述べた通り「面白くなかった」ではなく「がっかりした」という意見が多く、期待が高すぎた割には平凡な内容であり、「俺達の戦いはこれからだぜ」的な不完全燃焼な幕引きとなりスッキリしない作品で理想と現実の「落差」は非常に大きな物となった。

逆に言えば上手く煽って大儲けした作品でもありブラピ主演の作品の中では最高額の興行収入を得ている作品でもあり「商業的には」ヒット作に含まれ、続編も企画されているという。

テレビ放送版は「枠」に収めるために再編集されたという事で見直す事にしたが・・・


開幕で吹いた。前見た時は全然気づかずにスルーしていたが、何やってんですか先生!って事で序盤のまだブラピの家すら出ていない冒頭部分。謎の病原体による感染症が増えていますよーって「世界設定」の解説を様々なメディアの伝えるニュースや学者の解説を継ぎ接ぎしたようなオープニングなのだが、知っている顔が混ざっていた。

彼は「ミチオ カク」 日本語表記は「加來 道雄」 俳優ではない本物の理論物理学者で専門は素粒子論で特に超弦理論で著名な学者であり「ディスカバリーチャンネル」の顔の一人でもある。自身がメインの番組も数多く、主にSF関連の話題や、専門とする素粒子、宇宙の番組への出演が多い。一応だが、日系3世のアメリカ人である。

ソッチ関連の番組などであれば「有識者」として様々な番組にゲストとして出演している。ディスカバリーチャンネルをよく見る人なら、どこにでもいると言われるモーガン・フリーマンよりも目にする機会が多いだろう。逆に言えば普通の人からすれば日本での知名度は高くない。そういう意味ではコアなネタが仕組まれていたという形になるし、それに気づけて少し得した気分にもなった。

もし実際に「映画」の中の出来事が起こっていたら・・・確実に加來先生の所にも仕事が来る。そういう意味では作品にリアリティーを持たせるための憎い演出とも言える。はい、個人的には加來先生のファンなので「この2秒」の為に見る価値はある。むしろメインキャストに入れて欲しいくらいだ。

吹き替え版では駐屯基地の隊長に大塚芳忠、ちょっとイカれて拘束されている元CIAの男に若本規夫、ブラピ役はお馴染みの堀内賢雄、ブラピの嫁には篠原涼子、国連事務次長に玄田哲章、名もない兵士に井上和彦、他にも釘宮理恵に大塚周夫と声優陣が無駄に豪華だ。

この映画の顛末を知ると何かデジャヴにも似た親近感を覚える。前評判が高すぎた割に平凡な内容かつ制作側の不手際で「物凄い落差」を確保してしまい、結果的にそれが不名誉な大賞受賞の決め手となった・・・うん、PSUだね。

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